開発元 Optiwave社

OptiSystem Version 14.0

OptiSystem 14 は、version 13以来重視してきた多値変調機能をさらに充実したほか、大規模な計算と高度な開発自由度に配慮したC++コンポーネントが追加されました。マルチモード・空間多重に関連する素子の機能も大幅に改善しました。

ノイズ計算や周波数伝達関数の設定を大幅に強化したことによって、最新方式の光通信システムをより高精度にシミュレーションすることができます。

下記の新機能リストをご覧ください。

リリース日:2016年1月

新しいC++コンポーネント

C++コンポーネントの導入によっては、ユーザーがC++言語で高度な機能を持つコンポーネントを自在に開発できるようになります。既存のMatLabコンポーネントと同じように、あらゆる信号(光・電気・バイナリ等)を処理し、複雑な機能のカスタマイズ化が可能になりました。DLLとして計算を行うため、解析時間がMatLabコンポーネントに比べてはるかに短縮できます。波長多重・空間多重のような大規模な計算モデルに最適です。

C++コンポーネントのコンパイラーは、Microsoft Developer Studio 2013: professional か community (free) edition にて行えます。さらに、「Visual Studio 2013 Community Edition」が無償提供されているため、OptiSystemユーザーは容易に利用できます。

下図は、C++コンポーネントを利用してバイナリ信号がCWレーザー光を変調する例です。

Universal DSPとDecisionの機能強化

Universal DSPとDecisionが、下記のすべての変調フォーマットに対応できるようになりました。

  ・ BPSK, QPSK, 8PSK, 16PSK
  ・ 8QAM, 16QAM, 32QAM, 64QAM, 128QAM, 256QAM

下図は、今回リリースしたUniversal DSPとDecisionを利用して実現した112Gbit/s、128QAM、二重偏波コヒーレント光通信システムの例です。


新しいコンステレーションフォーマットが追加

QAM Sequence Generator と QAM Sequence Decoder のコンステレーションフォーマットに従来の正方形のほか、スター形と円形が追加されました。

下図は、スター形と円形のコンステレーションフォーマットを持つ112Gbit/s、16QAM、二重偏波コヒーレント光通信システムの例です。

PAMの機能強化

PAM関連のコンポーネントがユーザー定義のPAM振幅マップ(M*Nマトリクス)をインポートできるようになりました。この新機能を利用してPAM変調方式はより柔軟に対応が可能になりました。

新しいSpectral Light Source

Transmitters/Optical Sources ライブラリに新しい光源が追加されました。Spectral Light Sourceは、Lorentzian、Gaussianあるいはユーザー定義のスペクトルを設定し、環境光やLEDライトのモデリングに使用できます。

下図は、ガウシアン・プロファイルを持つSpectral Light Sourceの例です。

LEDの機能強化

既存のLEDコンポーネントには、ユーザー定義によるスペクトル設定が追加されました。また、出力パワーの計算方法が従来の量子効率計算オプションのほかに、スロープ効率計算も追加されました。

APDの機能強化

APDの機能が大きく強化されました。熱雑音に絶対温度と負荷抵抗による計算オプションが追加されました。APD Resultsの中にショット雑音電流と熱雑音電流が追加されました。等価雑音帯域幅から雑音帯域幅を計算するオプションも追加されました。

TIAの機能強化

TIAの周波数応答特性の設定には、測定した周波数伝達関数をインポートするオプションが追加されました。

ADCとDACの機能強化

ADCとDACに、熱雑音(サーマル・ノイズ)モデルが追加されました。計算結果の中に熱雑音電流と量子化雑音が新たに追加されました。

新しいSpatial Demultiplexer

Spatial Demultiplexerは、波長分割多重(WDM)と空間分割多重(SDM)を分離するためのコンポーネントです。自由空間やファイバーの中での波長多重・モード多重の伝搬解析に欠かせない素子です。多モードファイバー(FMF:Few Mode Fiber)通信システムがその中の一例です。

下図は、850nmと880nmの光ビームにそれぞれ2つのラゲール・ガウシアンモード(LG mode)を持ち、多重した後に分波した例です。右側のモード図は880nmのLG[2,1]モードを示します。

マルチモード・システム関連素子の機能強化

マルチモード・システム関連素子の機能が大幅に改善しました。これによって、空間分割多重システムの解析をより高精度且つ効率的に行えるようになりました。

具体的には、次のコンポーネントが機能強化されました。

 ・Erbium/Ytterbium Doped MM Fiber
 ・Measured-Index/Parabolic-Index Multimode Fiber
 ・Spatial Transmitters components(Spatial Optical Transmitter, Spatial CW Laser等)

下図は、空間モード分割多重方式の光伝送例です。Few Mode Fiberとマルチモード光増幅ファイバーが主な構成です。ポンピングレーザーおよびそれらのモードプロファイルを変えると、光信号の利得が伝搬モード(LP01とLP11)によってそれぞれ変化することがシミュレーションできます。

新しいDiffuse Channel

Diffuse Channelは、下図の示すように室内自由空間光通信のため追加されたコンポーネントです。

Power Splitterの機能強化

従来のPower Splitterは光信号のパワーを均等に各出力ポートに分けていましたが、新しいPower Splitterでは、パワーの割合の指定が可能になりました。

Helpへのアクセス機能強化

新しいHelp画面へのアクセスメニューが追加されました。コンポーネントのプロパティ画面を開かなくても、プルダウンメニューからHelpファイルを表示できます。

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